これは数年前のお話です。
安い素材で作られた、可愛い蝶々のピアス。
グアム島で開催される水曜市の路上で発見しました。
「いらっしゃい~!最後だから安くするよ!」
的なことを言われたので品揃えを見ていると、真ん中に可愛い蝶々発見!
Grace「いくら?」
店員「3ドル。でも2ドルに負けてあげる!」
その小さい路上の店には4人いた。
笑顔が優しい苦労をしていそうな若い旦那。
その隣に悲しげな表情の美人な奥さん。
眠たくてお家に帰りたそうにしているやせた2人の子供。
値切り交渉が好きな私は少しためらった。
Grace「1ドルだったら買うよ!」
奥さんは首を横に振った。
旦那さんはしばらく考え、ため息まじりに「いいよ」と言ってくれた。
1ドルじゃ儲けはない。彼の表情から読み取れた。
奥さんはまだ首を横に振っていた。
彼に1ドル札を渡し
私はピアスをつけてその場を去った…
でもどうだろう。
私が1ドル得をしたところで、日本で100円拾った!ラッキー!程度。
あの家族はどうなの?
彼らの1ドルの損は、ダメージが違うかもしれない。
その1ドルは明日食えるかどうかの勝負かもしれない。
そうではないかもしれない。
でも…
私はあの路面店に戻った。
店主に1ドル札を渡し、こう言った。
「私、値切るのを楽しみたかっただけだから。」
旦那さんは返さなくてもいいのに、と言ってくれた。
でも隣にいた奥さんはそこで初めて私に微笑みかけてくれた。
その笑顔には優しさと切なさ、感謝と愛が見え隠れしていた。
私はその笑顔で満たされました。
少し切ない気分で帰った。
「世界で貧困に苦しむ人たちの初級編」があるとしたら、それに触れてしまった感じ。
でも、あの笑顔は嬉しかった。
蝶のピアスは片方なくなったけど、あの笑顔はずっと忘れないよ。



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